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人は観たいモノ、聞きたいことが最初に「期待」としてあって
それにズバリはまると、あるいは輪をかけてその上を行くと
「感動した!」となるのかな。
本映画は、そういう意味では大外れ。肩すかしを食った。(笑)
チラシの謳い文句はこうだ。
「母を亡くし、心を閉ざした娘」
「妻を亡くし、心を失った父」
「父と娘の止まった時間が動き出す<愛と再生>の物語。
ね。
こんな風に書かれるともうたまんないでしょ?
それでどっさりなんとか賞とか取っちゃってるんだからさあ。
涙なみだの感動の映画を期待するでしょ?
おまけに娘の拒食症のセラピストは霊能力者。
ああ、映画前篇に漂う何らかのただならぬ霊気を
この霊能力者はみごと目に見える形に変えるのだ。
そして、亡くなった母、(妻)からふたりに送られてくるメッセージが!
それは、残された夫と娘の傷ついた心を癒すのに充分で…。
おお、おお!
ないから。
そんなものは一切ないよ。
でもね、この映画たくさんたくさん物語の材料をそこかしこに
散りばめるんだ。
退屈な映画と切って捨てるのは簡単だけれど、違うかもしれない。
何かとてつもない事件が起きるわけじゃないけれど、
まき散らされた「気配」を拾いながら
次に何かが起きることをこちらは待っている。
そんな感じ。
ふう。
ごめん。やっぱり「退屈」。
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